刃に伏す7代目(サイド)

刃に伏す、七代目(サイド)。本代はTwitterのどこかにいる。そこには書いていないライブの情報とセットリスト、あと見に行ったライブその他を淡々と記録している。

3月から5月まで本めくってた

ある本を読む為に準備運動で色々読んだよって話。
(本代の読んだメモからほぼ丸々転載)

(だって本代のあるツイッターがいつどうなるか分からないんだもん)


3/12 ライオンのおやつ 小川糸
気付いたら買ってた。終末期医療という重い題材ではあるが、主人公の諦念的な淡々とした語り口と登場人物の優しさですらっと進行。後半生きる事への欲が表出して盛り上がる、ただのいい子で終わらせない畳み方。終わりを旅立ちとし、すっきり終わる。恐怖を排除したかったのかもしれないね。


食堂かたつむり 小川糸
著者の代表作との事で図書館から。結構初期の作品なんだろうか… キッチンやアムリタの頃の吉本ばななに文章と展開の構成の仕方が似ている。
あとこの人の文章はライオンのおやつもそうだったけどとにかく句読点が多い。


わたしの美しい庭 凪良ゆう
元々の目当ての本の作者だがこっちは気付いたら買ってた。好き。
捨てたいものを考えさせてくれる。
しばらく置いてまた読む。これ好き。


3/14 逆ソクラテス 伊坂幸太郎
久々に伊坂さん読んでみるかと図書館でジャケ借り、したがこれは面白い。素晴らしかった。
伏線、伊坂さんらしい各話のリンク、何より子供が主人公なのにしっかり読める。後書で子供を中心に据える難しさに試行錯誤したと触れてたが見事過ぎる。終わりが最高だった。


3/15 「また、必ず会おう」と誰もが言った。 喜多川泰
元々読もうとしていた筆者の本が図書館に無く、勘でこれを借りた。良かった。
他人のメガネのくだりが大きな山場であり腑に落ちまくったが、個人的には最後の使命のくだりがページをめくれない程だった。
きっとこれを読ませたかったんだな。神は。


3/20 物理学の授業 世界は物理法則で成り立っている 左巻健男
図書館なので自分では絶対買わなそうな本を借りる。さすがに読むのに数日かかった…
力学、電磁気、波、流体、熱、ミクロまで。順番に読むことで分かるようになってると最後に気付く。しかしその最初の力学だけが辛かった…笑


3/23 巡礼の家 天童荒太
夢と現実を行ったり来たりな序盤から段々立ち直り現実に焦点が合ってくるにつれ文体が変わってくる。著者は重い作風の印象があるがこの作品が珍しいんだろうな…  勘で喪失からの再生を題材にしたような作品ばかり引き寄せてる。


3/23 銀河不動産の超越 森博嗣
ミステリーの名手。これはほのぼの系奇妙な物語。気力も体力も低温な主人公の周りに気力も体力も過度な登場人物が集まってくる。けどその過度さに当てられることも影響されて決意とか自分を変えるだとかすることもなく終始ぼーっとした主人公。好き笑


3/26 切羽へ  井上荒野
島で暮らす日常というのはその中では何もかも筒抜けで、なのにそれ故に閉じられている。外から来た人により日常にトンネルが掘られていく、それでもそのトンネルは外へと繋がることなく切羽で留まって しまう 、っていう解釈をした。捨て切れない積み重なった日常。留まって くれた という解釈もあるだろうここが分かれ道なような…書評も読んだがいやはや賛否真っ二つ。


4/2 モノのはじまりを知る事典 吉川弘文館
主に衣食住、そして今は当たり前に使っているモノの由来と発展を解説する本。民俗学
家電や時計やプラスチック製品など科学が由来になるモノの項目で先日読んだ物理学の先人が登場、こういうのがおもしろいところ。


4/4 世界史を変えた50の鉱物 エリック•シャリーン
これは相当面白かった‼︎ 地学?と思い気楽に借りたが、鉱物の説明は勿論、世界史と考古学、経済・文化・政治・産業の各史を織り交ぜて著者がジャーナリストな為か難解過ぎずユーモアもある。物理学の先人もまたも登場、最初アレ読んどいてよかったな…


4/13 世界でいちばん素敵な海の教室 藤岡換太郎
良書ー‼︎ 先日飛行機から外を眺めていたら和歌山と羽田の海があまりに違い過ぎて海洋学に興味を持った。でコレ。上の鉱物の本からも繋がる話で海の説明、成り立ち、地学との関連、海洋生物、海洋エネルギー、漁業、世界史上での扱いまで。

 

4/16 蜜蜂と遠雷 恩田陸
素晴らしかった‼︎ 長丁場のコンクールを舞台にしているためか全編通して良い緊張感があり長編でも中弛み一切無し。描写が丁寧で自分も話の中にいるよう。人物も瑞々しく実在して感じられた。
嫌な所引っかかる所が無く好意だけで読み進めた。いやこれは読んで良かった‼︎

 

4/19 トコトンやさしい地球学の本 西川有司
やさしくない笑 
前書きで地球のおもしろさや脅威を感じていただければと記述はあったが、脅威とそれに対する悲観的な記述が大半だったのでおもしろさが感じられない…
取説並みに淡々と説明を書かれた方がまだ読めた気がする。

 

4/24 熱源 川越宗一
アイヌ文明を軸にした時代小説。
登場人物が交差して時代や世代が移り変わっていく中、各々の意思は煌々と燃え続ける、飛び火して、継がれる。凍てつく大地で生きる熱と覚悟が問われる。最初と最後の繋がり方にこう来るか…と思うなど。
長いので数日かけて読むつもりだったが面白かったので一気読み。

 

4/26 祝祭と予感 恩田陸
蜜蜂と遠雷が良過ぎたので著者の他の本も読んでみたく装丁見て勘で手にした、のだけど蜜蜂と遠雷のスピンオフだった。そんなんあったのか〜!しかもまた良かった〜‼︎ 登場人物のその後と始まりを描いた短編集。この2冊はすごい好きな世界だ…知れて良かった。


4/27 面白くて眠れなくなる化学 左巻健男
先日のトコトン〜がマジつまらなかっ…いや合わなかったので、物理学の本の著者に戻ってみる。噛み砕いた説明、知ったその先にも興味を持たす内容、何より化学が面白い事を伝えたくて仕方ないが溢れており、最初にこの人の本に当たったのは正解だった。面白かった。


4/28 世界でいちばん美しいこども元素ずかん セオドア・グレイ
元素と元素周期表を分かりやすーく説明した図鑑。なんだが、たぶんコレ著者が後書きの「元素集めは楽しい」を書きたくて出したんじゃないか?
なんなら後書きが1番文章に気合いが入っていた。
自らを元素オタクと記していたし後書き読むと納得したw


4/29 スナックちどり よしもとばなな
キッチンからサウスポイントまではほぼ全部読んでたのにな…で久々に。よしもと作品における、言い回し、身近な死、個人の大きな喪失、なんか大きなものに守られる、一番底で熱でダウンして啓示的な夢を見る、偶然出会う小さな天使、など、あれはもはや伝統芸能。久々に伝統芸能を見た…


5/1 ノーベル化学賞に輝いた研究のすごいところをわかりやすく説明してみた 山口悟
先に元素図鑑読んどいて良かった。化学の歴史・基礎→原子・元素・分子→化学式→結合・構造変化→DNA・タンパク質をタイトル通り分かりやすい説明と図解なのがすごい。というか研究内容そのものがすごい。


5/2 神道の本 三橋健
化学から抜け出してみたかった笑 神道と神社の成り立ちや祭祀について書かれている。つまり日本神話、古事記日本書紀の内容がど真ん中にかなり分厚くありこれがすごく面白かった。昔は日本史は眼中になかった…言ってよ…面白かったよ…


5/3 絶対に行けない世界の非公開区域99 ダニエル・スミス
主に国防・軍事機密的な理由で立ち入れない区域、あとは重要な文化財、場所が未特定、国際軍事問題など。おかげで中東諸国問題いまさら理解出来たな…
ぶっちぎりで日本が平和な場所と理由だった。
(場所 伊勢神宮、理由 神が偉いから)


5/9 世界史は化学でできている 左巻健男
物理学の本から色々と読んできた本の内容が凝縮された上にはっとする関係を新たに知るなど。最高だ。
後書要約「世界史と化学がこんなに密接に関係していたのかと、また、化学という学問の魅力に関心を持ってもらえれば私的にはこれ幸い」
その通りでした‼︎

 


5/31 汝、星のごとく 凪良ゆう
冒頭の、ある本。


昨年末に好きな作家の「皆で本の紹介し合おうぜ〜」で知った。美しい装丁に惹かれたがそれ以上に私これ読んだ方がいいのでは?と妙に引っかかった。そこからずっと覚えており、仕事を辞めて一波越えたらすぐ本屋に行った。
ここ数年来、本をまともに読む時間すら作れなかった。
その時一緒に買ってきた本、図書館で手にした本、ずっと準備運動のようなものを続けてこの本を読むタイミングを待っていた。
結論から言うと私の引っかかりは合っていた、人は出会うべきタイミングで出会うべきものに出会う。


「いざってときは誰に罵られようが切り捨てる。もしくは誰に恨まれようが手に入れる。そういう覚悟がないと、人生はどんどん複雑になっていくわよ」


あの時、いざを踏み切ったから分かる。


静かに、重く、適正な暗さで、エピローグに至っては手が完全に止まった。ああ一生読むわこの本と思った。
筆者は、この人は、書く事に選ばれたし選ばれてしまったし逃げられないんだろうし逃げない覚悟をしたんだろうなと思う。
違国日記の槇生ちゃんと同じ種族だな…


遂に読んでしまった。やっと会えたね。

 

-----読んだメモ ここまで-----

 

8/16 違国日記 ヤマシタトモコ

2月の頭だったと思うが、Twitterの広告で偶然違国日記に出会った。私の勘が買えと言ったのでその場で既刊を全て買った。
それからというもの、数えきれないほど読み込み本当に必要な作品になった。
先日最終巻が出たがこれ程1ページ1ページを丁寧に読んだ事はここ数年無かった。

自分の人生の支えのひとつになってくれた、これからもなる作品である。